歯科医師のイメージと言うと、嫌いな人はすごく嫌いますよね。とにかく痛いことをするというイメージです。虫歯を治すときの、あの音や、歯を抜くというようなとても痛いというイメージを持っていて、出来れば歯医者さんには行きたくないというような気持ちを持っている人はたくさんいると思います。もちろん、歯科医師の仕事は虫歯の治療や歯を抜くということはもちろんありますが、実はそれらの業務は歯科医師の仕事の内容の一部であるということはご存知でしょうか。歯科医師の仕事というのは、口の中のトラブルが起きないようにするために、あらゆる角度から口の健康をサポートすることこそが、実は歯科医師の仕事です。そこでも、その点をもう少しご理解いただけるように、歯科医師の業務にはどういうものがあり、どの程度収入があるのかということについて、ご説明します。

歯科医師の業務内容について

では、歯科医師の業務とはどういうものなのか、ご説明します。
まず、歯科医師の業務というものは法律(歯科医師法)で決められています。歯科医師法において、第1条で次のように歯科医師の任務について定義づけています。

歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする
以上の点から歯科医師の業務はまず歯の治療があります。具体的には虫歯や歯周病の治療、及び入れ歯や詰め物などの製作と装着などがあります。それに加えて保健指導や健康管理を行うことも含まれます。それに加えて、外科的治療(歯並びの矯正、抜歯やインプラントなどの外科的治療)や、口腔領域の良性・悪性腫瘍の治療も行います。法律的には、医師が抜歯をしたり、虫歯を削ることが認められているということをご存知でしょうか。実は、医師でも抜歯や虫歯を削ることはできます。ただし、虫歯を削った後に詰め物をすることはできません。その理由は、充填や補綴物の装着といった、咬合(噛み合わせ)に関わる行為は、失われた機能を代わりのもので補うという、歯科医師のみに許されている医療行為だからです。さらに、歯科医師は、歯科治療に付随する行為であれば、全身麻酔や呼吸管理を行うことができますし、患者の死亡診断書を書くこともできます。

歯科医師の新しい役割

歯科医療の世界においても、治療だけが出来るだけでは生き残れない時代になっています。つまり、現代においては様々なニーズがあるように歯科医療においても様々なニーズに対応するということが求められているのです。

予防歯科

最近脚光を歯科医療において予防歯科です。これは、虫歯や歯周病でなくても、定期的に歯科医に受信をして歯科医師や歯科衛生士が口の中の状態をチェックして口の健康を保つために必要な処置を行うことです。

具体的にはどういう治療になるのかというと、患者一人一人に対応した歯磨きの指導のほか、歯垢(プラーク)や歯石の除去、フッ素塗布などを行います。このように定期的に口の中の健康を維持していくことを患者と歯科医師、歯科衛生士がタッグを組んでメンテナンスを実施することで患者と医師及び関係者との信頼関係を構築し、障害を通じてより多くの歯の健康を維持していくことが可能になります。

口腔ケア

病院や介護施設において高齢者や要介護者に行う口腔ケアという仕事があります。

口腔ケアには2種類あり、一つは歯ブラシやその他の口内クリーニング道具(スポンジブラシ、歯間ブラシなど)を使って、口腔内をきれいにする「清掃を中心とするケア」と、もう一つは舌体操などの口腔機能訓練や唾液腺、口腔粘膜のマッサージを行う「機能訓練を中心とするケア」です。口腔ケアをすることで口腔内の状態をチェックするだけでなく口腔内の乾燥や誤嚥性肺炎の事前防止が出来るだけでなく、老化や障害による口腔機能の低下を予防することができ、高齢化社会における新しい歯科医療として脚光を浴びています。

歯科医師の年収について

最後になりますが、歯科医師の年収についてですが、近年供給過剰ということもあって、年々低下している傾向があります。また、開業医と勤務医によっても違ってきます。会場位の場合は、医院の年間収益が4000万円強で、それに対して給与や医薬品などの費用が3000万円弱、差し引き1000万円程です。勤務医の場合は賞与込みで600万円という調査結果(厚生労働省による平成29年 医療経済実態調査)があります。